BRIDGESTONE GT U12:小5藤奈々樹、初オフ大会で6位

藤奈々樹、初オフライン大会出場

11月5日、17歳以下を対象としたグランツーリスモ7によるeモータースポーツ大会「BRIDGESTONE GTタイムトライアル U17 by TOYOTA GAZOO Racing」がTOKYO MOBILITY SHOW 2023にて開催されました。

今年からeM福岡クラブメンバーとして加入した小学5年生の藤奈々樹(とうななき)君、上記大会のオンライン予選を7位で通過し、初めてのオフライン大会(会場を使っての大会)に出場。全国6位という結果になりました。

ひたむきな練習姿勢と技術の高さから、クラブの年長組からも将来有望と言われている奈々樹君。今年はグランツーリスモの大会がかなり増えてきたこともあり、早くも舞台に上がるチャンスを獲得。
今回は初めての本戦出場について、また藤家でのeモータースポーツの取り組み方等も交えて親子インタビューを実施しました。

藤奈々樹,藤直樹
奈々樹君と直樹さん親子

部活動として本気の挑戦

■グランツーリスモはいつからプレイしている?
奈々樹君(以下、「奈」):2022年の春先、(前作)グランツーリスモSPORTから。

■グランツーリスモを始めたきっかけは?
直樹さん(以下、「直」):知り合いの自動車整備屋さんにeモータースポーツのレーシング筐体が置いてあり、お店に行く度「アセットコルサ(Assetto Corsa)」をプレイしていました。整備屋さんから、プレゼントとしてPS4とグランツーリスモSPORTをいただいたのがきっかけです。

■ハンドルコントローラーはいつから使っている?
奈:整備屋さんに遊びに行くたび触っていた。1年くらい通った。
直:AONE(エーワン)サーキットで小1からレンタルカートで走っていました。180分で100周以上走ったりしてました。レーシングカートの誘いもありましたが、新型コロナウイルスの影響で活動できなくなってしまいました。1年生の3学期で学校も閉鎖になりました。

「グランツーリスモ7」のAIでは奈々樹の相手にならず、本人がやりたいと言い出してオンラインレースを始めました。ほぼ毎レースでファステスト(最速タイム)とって20連勝くらいしてました。
もっと上手な人のアドバイスがほしい、eスポーツの活動をしたいと思って探していたところ、eM福岡を見つけました。部活動や習い事の一環と考えています。

親子でハマったモータースポーツ観戦

■ドライビングについては勉強している?
奈:YouTubeで他のプレイヤーの配信を観た。たくあん(佐々木拓眞)さん、TomoGamesさんをとくに参考にしていた。

直:私がもともとモータースポーツが好きなので、F1、スーパーGT、WRC等、2輪も含めモータースポーツほぼ全部親子で観ていました。専門用語やレース戦略、駆け引き等も実車レースを観て、自然と身につけてきたようです。それこそオートポリスにもレース観戦に行ったり。ドライバー目線の映像等も参考にしていました。「ほらゲームと一緒だよ」と言って。

■モータースポーツに興味を持つようになったきっかけは?
奈:よく覚えてない。
(笑)
直:小さいときから一緒にレース観戦していて、本人も興味があったようです。
奈:覚えてるのは、2019年スーパーGTの富士(スピードウェイ)。
直:私がレースを観たいものだから、やっと首が座るようになった奈々樹を抱っこして一緒に観ていました。レースを解説しながら一緒に観続けていたら、興味を持ってくれたようです。もろに父親の影響です。

11歳、初めての東京

■東京は初めて?
直:奈々樹は初めてです。
奈:福岡に比べて人も多いし、電車乗ってるときとか、建物も同じようなものが続くので酔った。
直:普段あまり電車移動しないんですけど、人が多すぎて、人酔いがあったと思います。高層ビルにも囲まれて。

■現地でのトラブルや困ったことは?
直:電車が複雑でした。スマホとかでも調べて、駅員にも聞いたんですけど、ちょっと違うルートだったみたいで。行きかえりとかは、特にトラブルは無かったです。奈々樹は飛行機初めてですね。
奈:飛行機上がるとき(離陸の時)酔った。車とかと違って地面が無いから、感覚的に自分が落ちていくかと思った。
直:でも良いことあったでしょ?
奈:キットカットもらった。
直:ああ、機内サービスの。富士山観れたでしょ?
奈:富士山の雪景色、雲が下に見えた。

■観光はできた?
直:東京スカイツリーを見に行きました。観光できる一番高いところ。
奈:すごく高くて車とかいつも大きく見ているものがちっちゃいやんと思った。足元がガラスで見えるところは少し怖かった。

直:RAC(レーシングギアショップ)にも行きました。たまたま自分が1000人目のフォロワーになって、プレゼントをもらった店です。そこにもシミュレーターがあって、30分くらい遊ばせてもらいました。プロドライバーも来店するのでハンドルがかなり重く設定されていました。
奈:ペダルも重くて最初はやりづらかったけど、慣れたら走りやすくなった。

東京スカイツリー,藤奈々樹
東京スカイツリーで観光
RAS,レーシングシミュレーター,藤奈々樹
プロ仕様のシミュレーターも体験

初大会、トラブルに見舞われながらも走り切る

■初のオフライン大会、参加してみてどうだった?
奈:レース始まる前までは緊張してたけど、始まったらやってやるぞとなった。

■本戦出場が決まってからどのくらい練習した?
直:平均すると1日1時間くらいかな、という感じですね。

■オンラインのライバルたちと直に会ってどうだった?
奈:最初は緊張しましたけど、話してたら普通の友達みたいになった。久留米の牟田選手とは一番仲良くなった。
直:前日の予選では奈々樹よりも下の順位だったんですけども、「明日(決勝)は追い上げるぞ」と話しているのを見ました。

■とくに印象的だったプレイヤーは?
奈:うまいなと思ったのは2位になった兼田選手。自分と戦略が一緒で、レースペースがトップと同じくらいで速かった。

東京ビッグサイト
会場となった東京ビッグサイト
BRIDGESTONE GTタイムトライアル U17 by TOYOTA GAZOO Racing,ステージ,会場
緊張感漂うステージ、大きな一歩

■会場では緊張した?
直:100人以上の観客がいて、決勝では立ち見も含めて200人くらいいました。
奈:見られてると意識して緊張してしまったけど、始まったら平気だった。ヘッドセットが小さくてちょっと苦戦した。

■大会中でうまくいったこと
奈:予選レースの最終ラップ。ストレートで頑張ってウェービングしたけど、ダメでした。3回ウェービングしたけど。
直:でも抜き返したでしょ?だから良かったじゃん。1周目にピット入って、タイヤは奈々樹の方がきつかった。
奈:あとファイナルラップでのオーバーテイク。大きなミスなく走り通せたこと。

■クラブ活動で教わったことは役に立った?
奈:予選のアンダーカット戦略。堤口さん、田代さんと相談して、1周目何が起きてもピットインすると決めていた。
直:先にピットに入るとかなり後ろで走ることになるから、目先のタイムを見て(遅れているように見えるので)絶望したと言っていました。でも後から皆ピット入って絶対追いつくから、焦らず冷静に走ってねと何度も言い聞かせてました。

■うまくいかなかったこと
奈:スプリント(予選)レース8周目の巻き込まれたやつ。
直:スリーワイドで、あれは完全にもらい事故やもんね。
奈:あと決勝レースでハンコンの接続が切れてアクセルとか効かなくなった。係の人に対応してもらって接続が戻って、(オートドライブでコーナリングし)1コーナーの立ち上がりで自分でドライビングできるようになった。(10数秒ロス)

■今後の課題
奈:レースペースと他車とのバトルが課題。

■目標にしているプレイヤー、憧れの選手はいる?
奈:目標にしてるのは堤口さん、たくあんさん、宮園さん、フラガさん。
直:普段クラブで接している堤口さんや、(他のクラブメンバー含め)全員に対してだと思うんですけど、身近にいる良い先輩だから余計目標にしやすくて、追い越したいと思っているようです。
奈:あとはトヨタの平川選手、ロニー・クインタレッリ、角田選手。一番好きなのはF1のフェルスタッペン。

佐々木拓眞,たくあん,藤奈々樹
憧れの佐々木拓眞(たくあん)選手とツーショット
藤奈々樹,山中智瑛,やまどぅー
今回は実況役だった山中智瑛(ともあき)選手とも記念撮影

親子一体で挑むeモータースポーツ

■奈々樹君は家庭ではどんな感じ?
直:オンオフがはっきりしている感じですかね。グランツーリスモやるぞっていう日はやるし、やらない日は全くやらないというときもあるから。

外では比較的おとなしい部類じゃないかなという気がします。宿題とか、ルールはきっちり守ったりしてるから、そこは良いのかなと思いますね。自然と(親として)守らせようという感じは出ていると思うんですけど、学校では目が届いてないけど、先生からはそういう風に聞いています。
周りの子をよく見たり、手助け等をしているってよく言われますね。落ちているごみを拾ったり、そういう自然な気遣いはできてますよと言われたりしますね。

■得意教科や苦手教科は?
奈:好きなのは算数と理科。実験が楽しい。
直:きっちり答えが出るからだというのもあると思いますね。1000分の1秒のタイムとか、グランツーリスモに通じるものがあるのかも。体操の採点みたいな、他の人の評価とか関係なく、それ以外答えが無いというのが好きなんだと思います。
奈:国語は苦手、単純に嫌い。文章を読むのが好きじゃない。漢字は得意。英語は書くのは(ペーパーテスト)できるけど、話すのは苦手。

■勉強とゲームは両立できている?
奈:できてると思います。
直:宿題や提出物があるときは必ずやるってことで、絶対やらなきゃいけないことはやっているという感じですかね。長期休みだと最初少しだけやって、最後に慌てて一気に終わらせてます。
勉強に関しては、トップでなくとも一般常識は身につけられる程度でやってもらえればと思っています。文武両道というか、それが家庭としての方針です。

■ゲームをやる時間とかは決めてある?
奈:一時はあった。
直:グランツーリスモ7に関しては決めてないです。他のゲームとかYouTubeとかは決めてますけど。グランツーリスモは大会とか目標にしてるからいいよという風にしています。遊びじゃなくて練習として、休憩とかしつつ。

他のゲームや動画を観たりの時間は、30分程度と決めています。グランツーリスモだけはゲームで遊んでいるという捉え方はしていません。本人も上手になりたいと言っているので、部活動と同じ感覚で、大会を目指したり上手になるための練習ということで制限は設けていません。

■親子で競うことはある?
直:家庭には1台しかないからレースはできないんですけど、ときどきタイムトライアルで競ったりしてます。奈々樹がどういうことをやっているか、ちょっとでも気持ちを理解するためにも、レベルは違うけどプレイしています。

事故やミスがあっても諦めずやるという手本を見せているつもりです。事故に遭ったりコースアウトをしてしまって私でも文句を言う場面があるんですけど、それでも諦めずにコース復帰したりして、こうやって最後まで走るんだよと言ったりして。諦めなかったら相手もミスをしたりすることがあるから、追い越して最後に勝てたりするんです。

そういうものを見てたから、予選レースでの事故も諦めずに走ったんだと思います。ミスを最小限にする大事さ、折れない気持ち、大会を通じて奈々樹にもそういったものが身についたように思います。

BRIDGESTONE GTタイムトライアル U17 by TOYOTA GAZOO Racing,記念Tシャツ,記念キャップ
記念品のシャツとキャップ、貴重な戦利品

■グランツーリスモ以外に何か一緒に取り組んでいることは?
直:ゲームは無いですね。自転車に乗って出かけるとか。
奈:何か一瞬思い出したけど忘れてしまった。前だったらレンタルカートとか。
直:レース行ったりは多いですね。

■実車レースの観戦はどのくらいの頻度で行く?
奈:1年に何回か。
直:オートポリスで大きいレースがあるときは比較的見に行きますね。他のサーキットにはなかなか行けてないです。
奈:一番遠いところで岡山。

■将来の夢や目標は?
奈:やっぱレーサーになること。eモータースポーツの世界チャンピオン。ゲーム、リアル両方できる選手になりたい。
直:レーサーになりたいっていう目標はあるみたいなので、まずはすぐ触れるeモータースポーツで日本チャンピオンとか目指して、そこから世界チャンピオン、ゆくゆくはリアルの方もなれたらいいなとやっているところですね。eモータースポーツで速かったらリアルでも走れるとも言いますし。

■目標には近づいている?
奈:(近づいている実感は)多少はある。

■イベントに参加したことで周囲への影響はあった?
直:奈々樹の学校の給食時間に、先生がレースの配信を流してくれたそうなんです。奈々樹がこういう活動をしているというのを皆に観てもらって。そうやって理解のある方から、少しずつ広がっていくのが大事かなと思います。


いつも高い熱量を感じる藤親子。この二人で結果が出なかったら、誰が出せるんだと感じてしまいます。二人三脚で突き進み、ぜひ夢を叶えてほしいと思います。

今までは世界大会や全国大会のようなトップ層のための大会が多かったものですが、今年は学生向けの大会が増えてきたのが良い傾向と感じます。確実にeモータースポーツの間口が広がっています。
今後はさらに地域密着した大会等、小さいものでもプレイヤーの目標になるようなものが増え、幅広い年齢層が活躍し、多くの方に観てもらえる機会が増えることに期待します。