龍翔太郎、夢への大前進!カーモデラーとしてマツダ入社

龍翔太郎,グランツーリスモ

自動車メーカーに入社、夢への前進

ニワカゲームス(eM福岡の旧称)の1期生としてクラブに加入し、丸5年となった龍翔太郎(りゅうしょうたろう)君。
「全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2019 IBARAKI」少年の部での準優勝を皮切りに、気づけばeモータースポーツ界ではすっかり有名人となっています。

当初から自動車に関する仕事に就きたいという強い願望を持ち、自動車の開発ドライバーという夢を持っていた龍君。晴れてマツダ本社のデザイン部門に入社しました。

当クラブから自動車関連企業に入ったメンバーは初めてということで、就職に向けて行ってきたことを中心にインタビューしました。

全国都道府県対応eスポーツ選手権 2019 IBARAKIの様子

マツダファンから就職へ

■マツダの方と初めて接したのはグランツーリスモ(以下、GT)の大会がきっかけ?
龍:2018年にグランツーリスモSPORTのワールドツアー・リージョンファイナルのエキシビジョンとして開催された「真剣勝負・メーカー対抗戦」でチームを組んだときが初めてですね。

■そのときマツダを選んでいた理由は?
龍:もともと僕がマツダ車が好きで、父が乗ってたんですよ。マツダが好きになったきっかけがロードスター(2015年式4代目)で、2015年にモーターショーのパンフレットで見たときに色とかデザインに衝撃を受けて。これ将来的に乗ってみたいなと思いました。

■今乗っているロードスターは?
龍:これは前の型のやつですね。(2015年モデルは)さすがに学生が買える金額じゃなかったです。

■次は4代目(2015年式)を買う?
龍:本音を言うと、これを維持するか、4代目を買うか、新作を買うかの3択ですね。

■大会でマツダチームを組んだのは就職に影響した?
龍:実際にマツダ関係者と関わったのが大きいと思います。そこでマツダというメーカーの空気感というか、車に対する考え方とか、マツダファンフェスタとかに行ったときの印象が良かったというのもあります。もともと好きだったのもあり、そのときの印象が決定づけたと思います。

マツダファンフェスタ,龍翔太郎
マツダファンフェスタで登壇する龍君

あえて独学でデザイン部門へ

■進路をいくつか悩んでいたようだったが?
龍:まず将来の目標として開発ドライバーというのはずっとあったんですけど、なかなかなれる職業じゃないっていうのと、技術的なところも含めて実際難しいというのもあって。最終目標を開発ドライバー、車の運転に関われる仕事としたときに、設計開発かデザイン部門を狙おうと決めました。

設計開発は学校で学んできてたことなんですよ。就職先とかは学校の求人にもあって。ただ僕がデザイン関係に挑戦してみたときに、なんか自分に向いている感じがあって。それがきっかけでデザインも頑張ればできるかもしれないと思って、ほとんど独学ですね。9割8分。

■デザイン部門の仕事を具体的に
龍:カーモデラーっていう仕事なんですけど、やっててすごい楽しいというのと、車の知識を活かせるのと、デザイン関係の血筋というか、感覚的にできるものがあったので。やりたいという気持ちで一心にやってきましたね。

■血筋というと?
龍:両親は関係ないんですけど、親戚に画家がいたりとか、アンパンマンのアニメスタジオに勤めている方もいるんですよ。幼稚園や学生時代も、美術の作品が表彰されたりとかもよくありました。

■デザイン部門を意識し始めたのはいつ頃?
龍:(コロナの影響で)1年休学してたので、2年目から日産のインターンシップが来てるらしいという話があって、車の造形に関われる仕事(カーモデラー)があると知ったのがきっかけですね。車のデザインに一番力を入れていると感じたのがマツダでした。

高2からマツダに入りたいという気持ちがずっとあったんですけど、そこで目指している開発ドライバーとはちょっと違う軸で話が進んだ感じですね。開発ドライバー以外にも車に深く関わっていける仕事があるんだと知りました。

■開発ドライバー自体は諦めていない?
龍:ドライビングに関わる仕事というのは、目標にはあります。ただ、車のモデラーという仕事もできる限り追及してきたいです。ドライビングもデザインもできるマルチタスクな人間になりたい。

デザインの勉強にも大いに役立ったゲーム

■デザイナーに必要な技術・資格はある?
龍:まずかっこいいとか、美しいとか面白いとか、人間が感じる感性が鋭くないとできない仕事かなと思います。資格は特にないんですけど、CADでCGを作る必要があります。アナログでできるものをデジタルで作らないといけない。簡単にいうと空間認識能力が必要になります。

龍君が実際にCGで作ったクルマ

■ゲームの世界も空間認識能力が必要ですね
龍:ゲームも知らないところで良い影響を与えていると思います。まるで違うジャンルですけど、似て通ずるものはあると思います。

■デザイン部門にも入社前にテストがある?
龍:僕が決まったきっかけがインターンシップですね。基本的にはどのメーカーもインターンシップを開催するんですけど、これが入社試験になっていて、お題を基に資料を作ってプレゼンしないといけません。僕もクレイモデルっていって粘土を削って作品をプレゼンしました。デザインに込めた想いとか、狙いとかをプレゼンします。

インターンシップに呼ばれるまでにもポートフォリオを提出して、そもそも呼ばれないとスタートラインに立てないっていう、厳しい世界でもありました。

■勉強していて大変だったこと
龍:勉強っていうか感覚的なものなので、自分の感性を大事に、絵とかは色々描いたりして。

一番難しいと感じたのはCADの扱い方とか。エイリアスっていう名前なんですけど、基本的に英語なので、操作方法とかも応用・発展は全然わからなかったので、YouTubeとか海外のサイトを漁ったりしたのは大変でした。

やっと車一台作れるようになったときにインターンシップに呼ばれて、他の人からいろいろなやり方を教えてもらいました。それから自分の考えや意見を表現できるようになりました。

■早く身につけておけばよかったと思ったことはある?
龍:作品集の作り方は身につけておけばよかったですね。作り方さえ知っておけばもっと早くできたなと思います。自分の思っていたことを表現する技術というか、CADの扱い方とか、技術的な面は早く知っておきたかったというのはあります。

■ゲームで役立った知識はある?
龍:たくさんありますね。まずゲームの中で車を運転して、車がどういう構造になっているかを知ることができるのは大きくて。車をかっこよく見せる方法、カラーリングとか、ゲームで楽しみながら知ることができたのはすごいプラスだと思います。

それといろんなメーカー、膨大な数の車を知ることができたのは大きかったと思います。車の図鑑を立体で見れるのは大きかった。

GTはリバリーエディターがクルマの造形をすごい研究しやすくて、作品を作るときにゲームをずっと横で見て、メーカーの狙いとかも考えてました。背景で天気とか変えられるじゃないですか。あれで色合いの変化とか光の移り変わりとか研究してました。世界中の車が手軽に細かいところまで見れるのはGTくらいです。

グランツーリスモ7,リバリーエディター,マツダ ロードスターS ND
様々な条件や角度からじっくり車を観察できるグランツーリスモのリバリーエディター機能

ひとつの進路に固執せず、様々な可能性を視野に

■今後同じような進路を考えている人たちへメッセージ
龍:メーカーに入りたいという目標があったとしたら、そこに入るためには何をしたらいいか、箇条書きとかにして一つずつステップ作ってやっていく必要はあると思います。
メーカーにも多種多様な仕事はあるので、自分自身がどういう仕事が合っているのか知るためにもいろいろ調べて、仕事を見つけて目指していくっていうのが、自分にもメーカーにとっても良い方向になると思います。

■ゲームでの活動も継続する?
龍:そうですね。環境的要因で今年はどうなるかわからないですけど、今後も色々やっていきたいという思いはあります。

■実車レース業界は視野にある?
龍:マツ耐どこかのラウンドでは出ようという話はしてます。スーパー耐久とか目標としては消えてないので、プロがいる現場で走ってみたいというのはあります。ゲームも実車も両方やっていきたいです。

■福岡に来ることは少なくなりそう?
龍:年末年始とか長期休暇のときに帰るくらいですかね。


開発ドライバーという大目標を掲げつつも、常に様々な可能性を模索し続け、自動車業界への就職という夢のひとつを叶えた龍君。実車レース参加、eモータースポーツ界での活動等も継続するということで、今後の活躍も目が離せません!

福岡に来れる機会は少なくなりそうですが、eM福岡としてはクラブメンバーがいつでも帰ってこれる場所として活動継続できるよう精進したいと思います。

龍翔太郎,福岡モビリティショー2023

”ニュルの神様”荒木祐樹、ホンダレーシングeMS2023総合4位

荒木祐樹、ホンダGT7大会出場

2023年12月10日、ホンダ・レーシング(HRC)によるグランツーリスモ7大会「Honda Racing eMS GT Grand Final 2023」が開催されました。

参加者20万人を超えるオンライン予選を1位通過し、18歳以上対象の「Challenge(チャレンジ)クラス」本大会に出場した荒木祐樹(あらきゆうき)のインタビューをお届けします。

荒木祐樹,DW-yuhki02,Honda Racing eMS GT Grand Final 2023

機材に苦戦したオフライン大会

■久々のオフライン大会ということで、全体的な感想
荒木:レース1は1位だったから良かった。レース2は練習時間が無かった。DDPROに触れる時間が少なかった。

■会場の雰囲気やいつもと違う機材について感想
荒木:機材のペダルを動かせることを知らなくて、(踏み込むのに)遠かった。下を見ていたのはそういうことです。

あとDDPROはフィードバックが弱かった。いつも使っているT-GTと比べて、曲げてるときのガタガタいう振動がこなくて、曲がってるのか曲がってないのかわからなかった。90度まで曲げたらやっと反応が来る感じです。気になったのはそこだけ。

ヘッドホンしてたから盛り上がってたかどうかわからなかった。人は結構いたから盛り上がってたんじゃないかな?
実況席の方も何言ってたかわからないし、聞き取れなかった。自分はハンコンとの闘いだったから、聞いてなかった。U17は盛り上がってたからよかったと思う。

Honda Racing eMS GT Grand Final 2023,会場
ホンダ・レーシングeMSグランドファイナル会場の様子

オンラインの仲間と現地交流

■オンラインでの10年来の友人と初めて会ったということで、その心境
荒木:兄弟みたいなもんです。付き合いが長いから、意見がよく合うんですよね。違和感も無く、想像通りだった。

■似た者同士という感じ?
荒木:イゴール(大村・フラガ選手)や諒汰(國分選手)とはちょっと違う感じですね。

■今回も「しらす組」と行動していたようだが、そもそも「しらす組」とは?
荒木:コミュニティではないし、飲み会の仲間みたいな感じですかね?チームでもなんでもないし。ただ俺らが悪ふざけでそういう名前にしただけで(笑)共感する仲間ではありますね。

■名前の由来は?
荒木:「ko sirrus(ケーオー・シラス)」っていう人をもじっただけで、普段穏やかな人なんですけど、怒ってたときの様子が怖かったんで、頭(かしら)と呼ばれ始めた。それが何だったのか(なぜ怒っていたのか)覚えてないですけど。

■集まってどういうことをしている?
荒木:ニュル(ニュルブルクリンク)走るだけですね。あとは他のゲームしたり。最近は公式戦とかは全くやらないです。SPORTのころはたまにやってましたけど。ゲームのパーティを開いてたら、自然と集まってくる感じですね。

荒木祐樹,しらす組,飲食店
「しらす組」で集い現地交流

ニュル市販車タイムトライアルが理由で参加

■最近はGT7の大会に出る場面が少ないが、今回参戦した理由
荒木:國分君から「ホンダのイベントあるよ」って言われて、自分は興味ないって言ったんですけど、「予選ニュルだよ」って言うから参加しました。

■市販車だったから参加した?
荒木:そうですね。さすがにフォーミュラとか言われたらいやですけど。

■フォーミュラ等のレーシングカーを好まない理由は?
荒木:目がついていかない。レーシングブレーキ踏んだ時にアンダー出るのが体に合わない。

■タイムトライアルで1位をとった感想
荒木:1位をとったからどうってのは無いですけど、イゴールに勝ってよかったかな。お互いの対抗意識みたいな感じですかね。

■他の人が1位だったら?
荒木:どうでしょうね?あのシビックに関してはいけるって自信があったんで。

■(ニュル同好会としての側面もある)しらす組の反応は?
荒木:いや別に。トップ4はオンラインで集まりましたけど、他の人は1周回ってゴールド取れれば(ゲーム内通貨が獲得できれば)いいやぐらいの感じだったんで。

荒木祐樹,イゴール・大村・フラガ,瀬田凛,國分諒汰,Honda Racing eMS GT Grand Final 2023,トロフィー,オンラインタイムアタック,チャレンジクラス,1位
肩を落とすイゴール選手と荒木祐樹、親友でありライバルでもある
荒木祐樹,Honda Racing eMS GT Grand Final 2023,トロフィー,オンラインタイムアタック,チャレンジクラス,1位
20万人の最速を証明するトロフィー

手の内をよく知る同士のレース

■レース参加者にはよく知る顔ぶれが集まったと思うが、その心境
荒木:まわりの人もトップ5くらいから争ってたんで、いいレースできたかなって感じですかね。

■レースとしてやりやすい?
荒木:まあ、やりやすいっちゃやりやすいですけど、お互いの手が見えてるってのがありますからね。

■手の内が知られていて駆け引きしづらい、戦略を立てづらいといったことは?
荒木:全然ないです。(裏をかいたりとか)それを考えてるのはイゴールくらいじゃないですかね。少なくとも俺はそういうのは無いです。

■イゴール選手や國分選手のような、仲の良い強豪プレイヤーと走る心境
荒木:正直に言うと、日本でやる大会だと緊張というか、なんだろうな、様子見はしないですね。ワールドシリーズのときはやりづらかったですね。(馴染みのない海外の選手と走るため)

第1レース1位フィニッシュ

■第1レースは1位となったが、その感想
荒木:ペースが遅くてごめんねという感じですね。ベストの0.6くらい遅かったです。

■鈴鹿とシビックの組み合わせはどうだった?
荒木:全然悪くない、自分的には嫌な組み合わせではなかったですね。良かったと思います。

■イゴール選手が常に2番手に迫っていたが、どういう心境だったか
荒木:うまいなーとしか思ってませんでしたね。それより3番手があんなに果敢に来るとは思ってませんでした。オフラインになったら急に来るから、ええーとなって。練習ではそんな感じじゃなかったんですけどね。

■意識的にブロックしていた?それとも相手が攻めてこなかった?
荒木:いやそれは無かったです。単純に自分のペースが悪かったのと、そういう展開になったからですね。あれはそういうレースだったんで。

■トップ5台ほど固まっていたが、どのあたりまで意識していた?
荒木:正直にいうと2~3番手までしか見てなかったです。何回も言いますけど、ハンコンに必死だったんで。

荒木祐樹,Honda Racing eMS GT Grand Final 2023,第1レース,優勝

機材セッティングと縁石に泣かされた第2レース

■第2レース予選が8番手タイムになったのは?
荒木:ペダルが届かないのと、肘がおなかに当たってカウンターが当てれなかったんですよ。自分で見ても一番遅いタイムでした。

■レッドブルリンクとNSXの組み合わせはどうだった?
荒木:正直嫌でしたね。1コーナー縁石めっちゃ跳ね返されるんですよ。あそこのペナルティがわかりづらい。

■何度かペナルティを受けていたのはその影響?
荒木:そこですね。

■表彰台は意識していた?
荒木:いや全然。

■目の前のレースに集中してた感じ?
荒木:はい。

今後の参戦は気分次第

■レーシングチーム監督としてドライバーからは一歩引いた感はあるが、興味のある大会があれば個人的に出場し続ける可能性はある?
荒木:今のところは。あとは自分の気分次第。

■今後の課題
荒木:レーシングカーに慣れる。Gr.4とかGr.3。今まで走れてたのがなんで走れないんだろうってのがあるので。ブレーキで頭入らないのが本当に嫌で、それはどうしようもないんですよ。

■今後大会やスポーツモードに挑戦する人に向けて
荒木:出るなら練習したほうがいいのと、言動には気を付けましょうというくらいですかね。言動が良くないと良く見られないじゃないじゃないですか。
ただ走ってるだけじゃダメなんで、一人で走るんじゃなくて、大会出ない人も誘って走るのがいいんじゃないかなと思いますね。


今大会の実況役であるピエール北川氏からも「ニュルの神様」と言われる腕前を持ち、方々から「ニュルマイスター」と称される荒木祐樹。
自身では第一線を引き、今後の参戦は大会内容や気分次第という、得意不得意がはっきりしている彼らしい発想ですが、いずれまた、ここぞという場で活躍する姿を楽しみに待ちたいと思います。

BRIDGESTONE GT U12:小5藤奈々樹、初オフ大会で6位

藤奈々樹、初オフライン大会出場

11月5日、17歳以下を対象としたグランツーリスモ7によるeモータースポーツ大会「BRIDGESTONE GTタイムトライアル U17 by TOYOTA GAZOO Racing」がTOKYO MOBILITY SHOW 2023にて開催されました。

今年からeM福岡クラブメンバーとして加入した小学5年生の藤奈々樹(とうななき)君、上記大会のオンライン予選を7位で通過し、初めてのオフライン大会(会場を使っての大会)に出場。全国6位という結果になりました。

ひたむきな練習姿勢と技術の高さから、クラブの年長組からも将来有望と言われている奈々樹君。今年はグランツーリスモの大会がかなり増えてきたこともあり、早くも舞台に上がるチャンスを獲得。
今回は初めての本戦出場について、また藤家でのeモータースポーツの取り組み方等も交えて親子インタビューを実施しました。

藤奈々樹,藤直樹
奈々樹君と直樹さん親子

部活動として本気の挑戦

■グランツーリスモはいつからプレイしている?
奈々樹君(以下、「奈」):2022年の春先、(前作)グランツーリスモSPORTから。

■グランツーリスモを始めたきっかけは?
直樹さん(以下、「直」):知り合いの自動車整備屋さんにeモータースポーツのレーシング筐体が置いてあり、お店に行く度「アセットコルサ(Assetto Corsa)」をプレイしていました。整備屋さんから、プレゼントとしてPS4とグランツーリスモSPORTをいただいたのがきっかけです。

■ハンドルコントローラーはいつから使っている?
奈:整備屋さんに遊びに行くたび触っていた。1年くらい通った。
直:AONE(エーワン)サーキットで小1からレンタルカートで走っていました。180分で100周以上走ったりしてました。レーシングカートの誘いもありましたが、新型コロナウイルスの影響で活動できなくなってしまいました。1年生の3学期で学校も閉鎖になりました。

「グランツーリスモ7」のAIでは奈々樹の相手にならず、本人がやりたいと言い出してオンラインレースを始めました。ほぼ毎レースでファステスト(最速タイム)とって20連勝くらいしてました。
もっと上手な人のアドバイスがほしい、eスポーツの活動をしたいと思って探していたところ、eM福岡を見つけました。部活動や習い事の一環と考えています。

親子でハマったモータースポーツ観戦

■ドライビングについては勉強している?
奈:YouTubeで他のプレイヤーの配信を観た。たくあん(佐々木拓眞)さん、TomoGamesさんをとくに参考にしていた。

直:私がもともとモータースポーツが好きなので、F1、スーパーGT、WRC等、2輪も含めモータースポーツほぼ全部親子で観ていました。専門用語やレース戦略、駆け引き等も実車レースを観て、自然と身につけてきたようです。それこそオートポリスにもレース観戦に行ったり。ドライバー目線の映像等も参考にしていました。「ほらゲームと一緒だよ」と言って。

■モータースポーツに興味を持つようになったきっかけは?
奈:よく覚えてない。
(笑)
直:小さいときから一緒にレース観戦していて、本人も興味があったようです。
奈:覚えてるのは、2019年スーパーGTの富士(スピードウェイ)。
直:私がレースを観たいものだから、やっと首が座るようになった奈々樹を抱っこして一緒に観ていました。レースを解説しながら一緒に観続けていたら、興味を持ってくれたようです。もろに父親の影響です。

11歳、初めての東京

■東京は初めて?
直:奈々樹は初めてです。
奈:福岡に比べて人も多いし、電車乗ってるときとか、建物も同じようなものが続くので酔った。
直:普段あまり電車移動しないんですけど、人が多すぎて、人酔いがあったと思います。高層ビルにも囲まれて。

■現地でのトラブルや困ったことは?
直:電車が複雑でした。スマホとかでも調べて、駅員にも聞いたんですけど、ちょっと違うルートだったみたいで。行きかえりとかは、特にトラブルは無かったです。奈々樹は飛行機初めてですね。
奈:飛行機上がるとき(離陸の時)酔った。車とかと違って地面が無いから、感覚的に自分が落ちていくかと思った。
直:でも良いことあったでしょ?
奈:キットカットもらった。
直:ああ、機内サービスの。富士山観れたでしょ?
奈:富士山の雪景色、雲が下に見えた。

■観光はできた?
直:東京スカイツリーを見に行きました。観光できる一番高いところ。
奈:すごく高くて車とかいつも大きく見ているものがちっちゃいやんと思った。足元がガラスで見えるところは少し怖かった。

直:RAC(レーシングギアショップ)にも行きました。たまたま自分が1000人目のフォロワーになって、プレゼントをもらった店です。そこにもシミュレーターがあって、30分くらい遊ばせてもらいました。プロドライバーも来店するのでハンドルがかなり重く設定されていました。
奈:ペダルも重くて最初はやりづらかったけど、慣れたら走りやすくなった。

東京スカイツリー,藤奈々樹
東京スカイツリーで観光
RAS,レーシングシミュレーター,藤奈々樹
プロ仕様のシミュレーターも体験

初大会、トラブルに見舞われながらも走り切る

■初のオフライン大会、参加してみてどうだった?
奈:レース始まる前までは緊張してたけど、始まったらやってやるぞとなった。

■本戦出場が決まってからどのくらい練習した?
直:平均すると1日1時間くらいかな、という感じですね。

■オンラインのライバルたちと直に会ってどうだった?
奈:最初は緊張しましたけど、話してたら普通の友達みたいになった。久留米の牟田選手とは一番仲良くなった。
直:前日の予選では奈々樹よりも下の順位だったんですけども、「明日(決勝)は追い上げるぞ」と話しているのを見ました。

■とくに印象的だったプレイヤーは?
奈:うまいなと思ったのは2位になった兼田選手。自分と戦略が一緒で、レースペースがトップと同じくらいで速かった。

東京ビッグサイト
会場となった東京ビッグサイト
BRIDGESTONE GTタイムトライアル U17 by TOYOTA GAZOO Racing,ステージ,会場
緊張感漂うステージ、大きな一歩

■会場では緊張した?
直:100人以上の観客がいて、決勝では立ち見も含めて200人くらいいました。
奈:見られてると意識して緊張してしまったけど、始まったら平気だった。ヘッドセットが小さくてちょっと苦戦した。

■大会中でうまくいったこと
奈:予選レースの最終ラップ。ストレートで頑張ってウェービングしたけど、ダメでした。3回ウェービングしたけど。
直:でも抜き返したでしょ?だから良かったじゃん。1周目にピット入って、タイヤは奈々樹の方がきつかった。
奈:あとファイナルラップでのオーバーテイク。大きなミスなく走り通せたこと。

■クラブ活動で教わったことは役に立った?
奈:予選のアンダーカット戦略。堤口さん、田代さんと相談して、1周目何が起きてもピットインすると決めていた。
直:先にピットに入るとかなり後ろで走ることになるから、目先のタイムを見て(遅れているように見えるので)絶望したと言っていました。でも後から皆ピット入って絶対追いつくから、焦らず冷静に走ってねと何度も言い聞かせてました。

■うまくいかなかったこと
奈:スプリント(予選)レース8周目の巻き込まれたやつ。
直:スリーワイドで、あれは完全にもらい事故やもんね。
奈:あと決勝レースでハンコンの接続が切れてアクセルとか効かなくなった。係の人に対応してもらって接続が戻って、(オートドライブでコーナリングし)1コーナーの立ち上がりで自分でドライビングできるようになった。(10数秒ロス)

■今後の課題
奈:レースペースと他車とのバトルが課題。

■目標にしているプレイヤー、憧れの選手はいる?
奈:目標にしてるのは堤口さん、たくあんさん、宮園さん、フラガさん。
直:普段クラブで接している堤口さんや、(他のクラブメンバー含め)全員に対してだと思うんですけど、身近にいる良い先輩だから余計目標にしやすくて、追い越したいと思っているようです。
奈:あとはトヨタの平川選手、ロニー・クインタレッリ、角田選手。一番好きなのはF1のフェルスタッペン。

佐々木拓眞,たくあん,藤奈々樹
憧れの佐々木拓眞(たくあん)選手とツーショット
藤奈々樹,山中智瑛,やまどぅー
今回は実況役だった山中智瑛(ともあき)選手とも記念撮影

親子一体で挑むeモータースポーツ

■奈々樹君は家庭ではどんな感じ?
直:オンオフがはっきりしている感じですかね。グランツーリスモやるぞっていう日はやるし、やらない日は全くやらないというときもあるから。

外では比較的おとなしい部類じゃないかなという気がします。宿題とか、ルールはきっちり守ったりしてるから、そこは良いのかなと思いますね。自然と(親として)守らせようという感じは出ていると思うんですけど、学校では目が届いてないけど、先生からはそういう風に聞いています。
周りの子をよく見たり、手助け等をしているってよく言われますね。落ちているごみを拾ったり、そういう自然な気遣いはできてますよと言われたりしますね。

■得意教科や苦手教科は?
奈:好きなのは算数と理科。実験が楽しい。
直:きっちり答えが出るからだというのもあると思いますね。1000分の1秒のタイムとか、グランツーリスモに通じるものがあるのかも。体操の採点みたいな、他の人の評価とか関係なく、それ以外答えが無いというのが好きなんだと思います。
奈:国語は苦手、単純に嫌い。文章を読むのが好きじゃない。漢字は得意。英語は書くのは(ペーパーテスト)できるけど、話すのは苦手。

■勉強とゲームは両立できている?
奈:できてると思います。
直:宿題や提出物があるときは必ずやるってことで、絶対やらなきゃいけないことはやっているという感じですかね。長期休みだと最初少しだけやって、最後に慌てて一気に終わらせてます。
勉強に関しては、トップでなくとも一般常識は身につけられる程度でやってもらえればと思っています。文武両道というか、それが家庭としての方針です。

■ゲームをやる時間とかは決めてある?
奈:一時はあった。
直:グランツーリスモ7に関しては決めてないです。他のゲームとかYouTubeとかは決めてますけど。グランツーリスモは大会とか目標にしてるからいいよという風にしています。遊びじゃなくて練習として、休憩とかしつつ。

他のゲームや動画を観たりの時間は、30分程度と決めています。グランツーリスモだけはゲームで遊んでいるという捉え方はしていません。本人も上手になりたいと言っているので、部活動と同じ感覚で、大会を目指したり上手になるための練習ということで制限は設けていません。

■親子で競うことはある?
直:家庭には1台しかないからレースはできないんですけど、ときどきタイムトライアルで競ったりしてます。奈々樹がどういうことをやっているか、ちょっとでも気持ちを理解するためにも、レベルは違うけどプレイしています。

事故やミスがあっても諦めずやるという手本を見せているつもりです。事故に遭ったりコースアウトをしてしまって私でも文句を言う場面があるんですけど、それでも諦めずにコース復帰したりして、こうやって最後まで走るんだよと言ったりして。諦めなかったら相手もミスをしたりすることがあるから、追い越して最後に勝てたりするんです。

そういうものを見てたから、予選レースでの事故も諦めずに走ったんだと思います。ミスを最小限にする大事さ、折れない気持ち、大会を通じて奈々樹にもそういったものが身についたように思います。

BRIDGESTONE GTタイムトライアル U17 by TOYOTA GAZOO Racing,記念Tシャツ,記念キャップ
記念品のシャツとキャップ、貴重な戦利品

■グランツーリスモ以外に何か一緒に取り組んでいることは?
直:ゲームは無いですね。自転車に乗って出かけるとか。
奈:何か一瞬思い出したけど忘れてしまった。前だったらレンタルカートとか。
直:レース行ったりは多いですね。

■実車レースの観戦はどのくらいの頻度で行く?
奈:1年に何回か。
直:オートポリスで大きいレースがあるときは比較的見に行きますね。他のサーキットにはなかなか行けてないです。
奈:一番遠いところで岡山。

■将来の夢や目標は?
奈:やっぱレーサーになること。eモータースポーツの世界チャンピオン。ゲーム、リアル両方できる選手になりたい。
直:レーサーになりたいっていう目標はあるみたいなので、まずはすぐ触れるeモータースポーツで日本チャンピオンとか目指して、そこから世界チャンピオン、ゆくゆくはリアルの方もなれたらいいなとやっているところですね。eモータースポーツで速かったらリアルでも走れるとも言いますし。

■目標には近づいている?
奈:(近づいている実感は)多少はある。

■イベントに参加したことで周囲への影響はあった?
直:奈々樹の学校の給食時間に、先生がレースの配信を流してくれたそうなんです。奈々樹がこういう活動をしているというのを皆に観てもらって。そうやって理解のある方から、少しずつ広がっていくのが大事かなと思います。


いつも高い熱量を感じる藤親子。この二人で結果が出なかったら、誰が出せるんだと感じてしまいます。二人三脚で突き進み、ぜひ夢を叶えてほしいと思います。

今までは世界大会や全国大会のようなトップ層のための大会が多かったものですが、今年は学生向けの大会が増えてきたのが良い傾向と感じます。確実にeモータースポーツの間口が広がっています。
今後はさらに地域密着した大会等、小さいものでもプレイヤーの目標になるようなものが増え、幅広い年齢層が活躍し、多くの方に観てもらえる機会が増えることに期待します。

堤口直斗、GT国体2022栃木 本大会出場インタビュー

堤口直斗、国体本大会初出場

10月16日、国体文化プログラム「全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2022 TOCHIGI」グランツーリスモ7部門の本大会が開催されました。国体に挑戦し続けて4年、福岡県(エリアG)代表として初めて本大会出場した堤口直斗選手にインタビューを実施しました。

堤口直斗,ファンゲームス
堤口直斗(つつみぐちなおと)23歳 グランツーリスモシリーズは2歳頃からプレイ

各地を転々、まさかの福岡県代表

■初の本大会出場ということで、心境や感想

堤口:代表が確定した時点で、これまでにない達成感と嬉しい気持ちしかなかった。

■国体は毎年参加している?

2019茨城:福島県代表決定戦出場
2020鹿児島:北海道・東北ブロック代表決定戦出場
2021三重:福岡県、オンライン予選落ち
2022栃木:福岡県代表、全国10位
※2019年~2020年は仕事のため住んでいた福島、実家のある北海道から参戦。2021年から福岡へ移住。

■北海道出身で福岡代表となったが、その心境は?

代表になるなら福島・北海道かと思っていたが、まさか福岡の代表になるとは思わなかった。クラブ内でも荒木君、龍君、航太朗君といった強いプレイヤーがいるので、福岡は選手の層が厚く、レベルが高くて難しいと思っていた。

■グランツーリスモ(以下、GT)は2歳くらいからプレイしているとのことだが、そのゲームが国体文化プログラムとして大会になっていることに感じることは?

趣味としてやっていたゲームが国体のような名のある大会になるとは思わなかった。GT5(2010年)の頃から徐々にレッドブル5GやGTアカデミー、ワールドシリーズといった大会も開かれるようになり、パブリックの目にも触れられるようになってきた。
GTはリアルのモータースポーツと直結するところがあって、昔実車でやっていた人や何も知らない子ども達にとっても入口として良い題材だと思う。

堤口直斗,全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2022 TOCHIGI,福岡県代表,本大会
本大会配信での選手紹介の様子
全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2022 TOCHIGI,本大会,決勝レース,リザルト
福岡県、堤口選手は10位。いろいろと課題も見つかった様子

餃子の街でプレイヤー同士の貴重な交流

■栃木までの遠征ということで、向かいながら感じたことは?

堤口:富士山が見られなくて残念だった。浜松あたりまでは晴れていたが、徐々に曇ってきて観れなかった。

博多~東京が新幹線(一番速いのぞみ)で5時間。東京~宇都宮が新幹線で1時間。
新山口で社会科見学風の小学生達が手を振ってくれた。平日で電車移動をして子ども達に手を振ってもらって、人生謳歌していると感じた。大会というより旅してる感覚だった。

■現地着くまでにトラブルは無かった?

笹栗~宇都宮のチケットをもらっていたが、途中下車できる駅が限られていて、お土産を買う予定がずれてしまった。(途中下車で買うつもりが、新幹線乗り換えのときに買った)
当日はホテルチェックイン前に友人とのドライブ等も入れていて、ちょっと予定を詰めすぎたかもしれない。もともと朝4時に寝るといった夜型の生活をしていたので、生活習慣が治ったのはよかった。

■栃木はどんなところだった?

宇都宮駅のまわりは田んぼが広がっていてのどかだった。餃子のお店が多かった。(駅内に4~5件)
予選当日の夕飯に餃子屋へ行ったが、塩をつけて食べるという新しい発見をした。栃木行ったらレモン入り牛乳を飲んでください。

■全国から代表プレイヤーが集ったが、交流はできた?

そつなく皆とコミュニケーションをとれたと思う。愛知県の二人とはとくに喋った。自分の中では愛知や名古屋は通過する場所という印象で、交流できる機会が少ないので良い刺激になった。ホテルの大浴場で他のプレイヤーとばったり遭遇したりもした。

前日は主にレースについての話をしていた。どちらかというと、選手より見に来てくれた人や運営の手伝いをしていた人(ナミ太郎さん、イゴール・フラガさん)と話した。内容はだいたい大会についてや世間話。もうちょっといろんな人と喋ればよかったと思う。

宇都宮駅,栃木国体
栃木県、宇都宮駅でも国体PR
全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2022 TOCHIGI,本大会,弁当
本大会出場選手に配られた品々

緊張が抜けてしまい実力発揮できず

■本大会出場が決まってからどのくらい練習した?

堤口:とりあえず1日1時間は走ろうと思ったが、後から聞いたらまわりは3倍くらい走っていた。単純に練習時間が足りてなかったと思う。

■予選で失敗したとのことだが、何を失敗した?

ミスとペナルティが重なってしまった。シケインの入り口でミスって0.3秒ほどロスして、立ち上がりでペナルティがついてしまい実質1秒くらい失った。これが無ければ4番手スタートくらいは取れたと思う。

予選は6人1グループとなり、一人ずつ出走する形式。後から走るグループの第1走者だったが、なんとなくミスれない雰囲気に呑まれてしまった。

■後方で何度も順位が入れ替わっていたが、どんなことが起こっていた?

どんどん仕掛けて前にいこうとしたが、スピンしてしまって最後尾になった。別の人がスピンしたところを抜いたり、他のプレイヤーとバトルをしていたが、またスピンしてしまった。オフライン大会に慣れていなかった人がスピンしていた印象。
タイヤ選択等の戦略は間違っていなかったが、ミスで台無しになり、先頭集団とバトルできる土俵にいなかったのが悔しい。

■オフライン大会は緊張した?

緊張しなさすぎて気持ちが入ってなかった。前向きな気持ち(勝ちへの意欲)が出てこず、(悪い)流れに身を任せすぎてしまった。頭では勝つと考えていても、気持ちがついてきていなかった。ほどよい緊張感はあった方がよかった。

■大会中で印象的だったことは?

佐々木拓眞君(U18の部で優勝)の涙が印象的。すごい気持ち入ってたなと。一般の部の参加者同士で「もう俺らレースしなくていいわ」という話になっていた。そこで気が抜けてしまったのかもしれない。

■今後の課題

何もかもと言いたいところですが、イゴール・フラガさんからアドバイスをもらって、全体的にアクセルを踏むのが早いということで、技術的なところから改善していきたい。メンタル面を鍛えるにはもっとオフライン大会の経験を積みたい。

全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2022 TOCHIGI,本大会,観客席
会場「日環アリーナ栃木」の様子、満席ではないものの大勢の観客の姿が
全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2022 TOCHIGI,本大会,選手控え席
出番を控える選手達

国体出場を目指す人へ

■上達するために必要なことは?

堤口:気持ち。モチベーションは必要。モチベーションを維持するためにも、互いに高め合える仲間がいるのは重要だと思う。知り合いが自分より速いタイムを出していると、「あいつタイム上がってんじゃん」とやる気が出る。

■これからスポーツモードに挑戦する人へのアドバイス

まずは人にぶつけないようにですね。速さはあとから身につける。
現状のGT7のAIは人間とのレースには参考にならないので、ロビーのフリー走行の部屋とかで人とぶつからないように走ること。デイリーレースでレーティング変動しないレースもあるので、そこで練習するとか。

国体への再挑戦、ワールドシリーズ出場が目標

■大学入学を目指しているとのことだったが、そちらは順調?

堤口:いったんやめてる状態です。急ぐ必要も無いので、今はグランツーリスモを頑張る。生活もちょっとカツカツだから仕事もしないといけない。独学よりも人に教わって知見を広めたいので、大学は行きたい。
簿記の資格を取って、数字を扱う仕事はやってみたい。eM福岡の活動でも役立つ場面があるかもしれないので。とれる資格は何でも取りたい。

■今後の目標

まずは来年の国体の福岡県代表になりたい。今年の借りを返すというか。
淡い欲望としてはワールドシリーズに出たい。これはもっと長い目での目標。


単身、北海道から福岡県へ移住し、県代表として国体の舞台へ立った堤口直斗。まだ福岡に住んで2年目、JEGTグランプリのような企業チーム向け大会にも出場し「プロプレイヤー」と呼ばれることはあるものの、安定した生活とは言えない状況のようですが、まだまだ大会への意欲は尽きない様子でした。

これからも仲間たちやライバルと共に切磋琢磨し、ぜひ国体への再挑戦と世界の舞台に立つ夢を叶えてほしいと思います。

龍翔太郎、グランツーリスモ世界大会に初出場!重なる苦難

龍翔太郎、ワールドシリーズ初出場

2022年7月末に開催されたグランツーリスモ7の世界大会「グランツーリスモワールドシリーズ2022 Showdown マニュファクチャラーズカップ」に龍翔太郎選手が出場しました。

会場はオーストリア・ザルツブルクの「レッドブル・ハンガー7」。龍選手、初の世界大会に挑戦!メーカー対抗戦であるマニュファクチャラーズカップにマツダ代表として出場し、結果は4位となりました。

大会参加にあたっての話を中心にインタビューを実施しました。

龍翔太郎
龍翔太郎(りゅうしょうたろう)21歳 グランツーリスモはPSP版で初めてプレイ

己の力を信じてきた5年間

■初のワールドシリーズに参加した心境や感想

龍:世界の壁は高い。表彰台を狙うには経験と実力が足りて無さそう。

■世界大会を意識し始めたのはいつごろ?

16歳の頃、GTS(グランツーリスモSPORT)で世界大会が開催されると知り、これはやってみるしかないと感じた。
長いことモータースポーツ好きだったので、当時はFIAが管轄していた選手権ということで、レギュレーションのある大会・レースといった世界を直に体感したいと思った。

■自分自身が世界大会に出れると思ったタイミング

GTS初期にはPS4(PlayStation 4)に対応するハンコン(ハンドルコントローラー)を持っておらず、パッド(通常のコントローラー)でプレイするしかなかったが、リージョン内でトップ10のタイムを出せていたので、自分に合ったハンコンや機材を整えれば十分狙えると感じた。PC向けのシミュレーター等でプレイしてハンコンの良さは知っていた。

受験に向けて、将来の目標として自動車の開発ドライバーを意識し始め、そのための勉強材料としてレースゲームが使えるかもしれないと思った。ドライビングの勉強もした。早く走ることを意識し始めたのはこの頃かもしれない。

eM福岡の練習場でグランツーリスモをプレイする龍翔太郎

寝る間もないザルツブルク大会

■大会出場が決まってからどのくらい練習した?

龍:大会の1週間前にレギュレーションが発表された。課題と期末テストも重なってあまり練習時間はとれなかったが、時間の限り練習した。

出発直前に海外の航空会社がストライキを起こしたため、フライトが延期になった。もともと大会の2日前入りが予定されていたが、当日の朝4半時にホテル到着。6時まで寝て、12時頃に会場入り。ほとんど寝る間もなく参戦する羽目に。
フライト15時間(ドイツ~ミュンヘン~ザルツブルク)、飛行機も遅延、バスも遅れでトータル20時間はかかった。

ストライキでフライトが1日遅れたが、本番環境を意識した練習をする時間がとれた。モニターの位置、グローブやシューズを使った練習等。

■時差および外国での大会ということで、プレイへの影響は?

時差ぼけや寝不足はレッドブルで吹き飛んだ。帰りの飛行機でも映画を観たりしていたが、帰ってから一気に疲れがきた。

レッドブル・ハンガー7
「レッドブル・ハンガー7」の名の通り、関連する乗り物やグッズに囲まれた空間

トラブルで急きょ作戦変更

■海外のチームメイトとは相談して戦略を立てた?

龍:チームメイトが決まってからDiscordでやりとりしていた。英語はできないので、翻訳アプリを活用した。

担当スティントの相談等、戦略面も話していた。一発の早さ、タイヤを持たせられるかどうか等、判断基準をいくつか設けて担当を決めた。最低周回数14を走って、それ以降のタイヤの減り具合やタイム等も比較した。
レース練習は安定感を高めることを重視、体に覚えさせて自然体で走れるように。レースペースの一貫性を保つ。タイヤ摩耗や燃料消耗の確認もしつつ。

予選のあと本番レースがそのまま始まり、もともと想定していたタイヤに交換できず、お互い担当するタイヤでないもので走ることになった。(予選のあとタイヤ変更して選手交代しなければいけなかったが、そのタイミングが分からなかった)
もともとはチームメイトにミディアムタイヤで第1スティントを攻めてもらい、自分がハードタイヤで繋ぐ役割だったが、急きょ役割を入れ替えた。

最終的にチームは4位で、結果としては悪くなかったかもしれない。
自分がミディアムを担当することになったが、想定通りの力を発揮できたとは思えていない。もともとミディアムは練習していない。バトルはうまくやれたが、そこは納得の結果とはいえない。

グランツーリスモ ワールドシリーズ Showdown 2022 チームマツダのシート
本来3人1組のチームだが、当日1名が病欠になるというトラブルも

マツダ車に乗り続けて掴んだ世界への切符

■レース中印象的だったこと

龍:ソフトタイヤで迫ってきたフラガ選手に先を譲り、そのあとハーフスピンを起こした他のクルマをオーバーテイクしたときは印象的。

■緊張した?

緊張したが、うまくやってやろうという気合が勝った。
緊張してないときは集中できてない気がする。逆に緊張していてよかった。

■ワールドシリーズに参加して楽しかったこと

マツダの代表として世界に出られたのが嬉しかった。自分はあまり器用な方ではないので、同じメーカーのクルマに乗り続けた方が自分の強みを活かせると思う。

グランツーリスモ ワールドシリーズ Showdown 2022 チームマツダ代表、龍翔太郎 GT公式YouTube配信

勝ち負けより楽しむこと

■上達するために必要なことは?

龍:努力+どうやったら速く走らせることができて、レースで勝てるのか、速い人はなぜ速いのかを研究すること。継続すること。明確な答えはないが、自分なりの答えが見つかるときがくると思うので、それを追及してほしい。

■これからスポーツモードに挑戦する人へのアドバイス

とにかくレースを楽しんでほしい。まずは楽しむことが大事だと思う。勝ち負けより、レース自体を楽しめたかどうか。

ザルツブルクの街並み

クルマ文化の良さが広まってほしい

■グランツーリスモシリーズやeモータースポーツ業界に求めること

龍:モータースポーツをもっと広めてほしい。クルマ好きが増えてほしい。今は内に寄りすぎている気がするので、クルマの文化や良さをもっと広めてほしい。

■今後シーンはどのようになっていくと思うか

リアルのモータースポーツに進出するGTプレイヤーは増えそう。最近はゲームのクオリティも上がっているので、(実車で活動するにしても)速く走る練習にはなりそう。
ゲームだけでやってきた人でも、実車に乗る恐怖心やゲームとの違いを克服できればチャンスはあると思う。

GTで得た体験を将来へ活かす

■夢の現状

龍:最近は自動車のデジタルモデリングも行っていて、デジタルモデラーとしての道も見えてきている。自動車開発ドライバーも目指しているが、今はいろいろなことに挑戦して引き出しを増やしつつ、可能性を広げている。GTで培った技術や知識もどこかで活かせるはず。

■今後の目標

GTの大会や就活でスケジュール的に大変なところもあるが、いまやっていることに全力で取り組む。


常に目標を見据えて己を磨き、ついに世界の舞台へ立つことが叶った龍翔太郎。自動車業界で仕事をしたいという目標にも、着実に迫っている様子。

今大会ではトラブルの連続で実力を出し切れてないのは間違いないので、ぜひ再挑戦してほしいものです。学業や公式戦以外の大会もあってキャパオーバー気味と語っていましたが、いつか再び世界大会で戦う姿が見れるのを楽しみにしています。

国体eスポーツに参加して変わった周囲の目―古川拓己

古川拓己

明日から千葉へ出張の古川拓己(たくみ)君。
月末まで練習に参加できないので、顔を出してくれました。

予選上位ランクインで周囲からの目が変わった

国体予選は惜しくも通過できなかったものの、国体に参加したことによって周囲からの目が少し変わったようです。

はじめ、国体にeスポーツが採用されるといっても、同じ職場の人は「なんだそりゃ?」という反応だったそう。
「ゲームは遊ぶもの」と浸透してしまっている日本では、なかなか「ゲーム=競技」というイメージが湧きません。本気でゲームをすることは「悪いもの」とさえ捉えられがちです。

そういう雰囲気を古川君も感じていたのか、周囲にグランツーリスモを本気でやっていることは秘密にしていたようです。

しかしオンライン予選を通過し、ふとした弾みにオフライン予選に参加することを周囲に話したところ、予想外の反応を得られました。

それまでゲームに関心の無かった人たちや、直接伝えたわけでない人からも「予選はどうだった?」と聞かれたそうです。 当人も驚きの広まりで、友人たちからも予想外の好評だったとか。

「TVゲーム」が「競技」になるとき

予選の結果こそ5位で福岡代表にはなれませんでしたが、福岡一般の部の参加者246人中の5位というと、職場の人たちからも「すごい!」と称賛されたそうです。
本人は全然すごくないと言いますが、いや、トップ5って普通にすごいよ…

実際にプレイしたことが無い人に「すごい」と言わしめるのは、それはすでに「TVゲーム」という領域ではなく、「競技」として成立していると認めているからです。

たしかに、全国的にみるとまだまだの腕前なのかもしれません。世界レベルの大会に出るのは夢のような話です。
しかしまだハンドルコントローラーに触って数か月という古川君。このまま努力を怠らなければ、福岡から全国へ挑戦できる日もそう遠くないかも!

頑張れ拓己!

ニワカラボ
せっかく関東へ行くので、あちらのオフライン大会にも参加する予定とのこと。