龍翔太郎、グランツーリスモ世界大会に初出場!重なる苦難

龍翔太郎、ワールドシリーズ初出場

2022年7月末に開催されたグランツーリスモ7の世界大会「グランツーリスモワールドシリーズ2022 Showdown マニュファクチャラーズカップ」に龍翔太郎選手が出場しました。

会場はオーストリア・ザルツブルクの「レッドブル・ハンガー7」。龍選手、初の世界大会に挑戦!メーカー対抗戦であるマニュファクチャラーズカップにマツダ代表として出場し、結果は4位となりました。

大会参加にあたっての話を中心にインタビューを実施しました。

龍翔太郎
龍翔太郎(りゅうしょうたろう)21歳 グランツーリスモはPSP版で初めてプレイ

己の力を信じてきた5年間

■初のワールドシリーズに参加した心境や感想

龍:世界の壁は高い。表彰台を狙うには経験と実力が足りて無さそう。

■世界大会を意識し始めたのはいつごろ?

16歳の頃、GTS(グランツーリスモSPORT)で世界大会が開催されると知り、これはやってみるしかないと感じた。
長いことモータースポーツ好きだったので、当時はFIAが管轄していた選手権ということで、レギュレーションのある大会・レースといった世界を直に体感したいと思った。

■自分自身が世界大会に出れると思ったタイミング

GTS初期にはPS4(PlayStation 4)に対応するハンコン(ハンドルコントローラー)を持っておらず、パッド(通常のコントローラー)でプレイするしかなかったが、リージョン内でトップ10のタイムを出せていたので、自分に合ったハンコンや機材を整えれば十分狙えると感じた。PC向けのシミュレーター等でプレイしてハンコンの良さは知っていた。

受験に向けて、将来の目標として自動車の開発ドライバーを意識し始め、そのための勉強材料としてレースゲームが使えるかもしれないと思った。ドライビングの勉強もした。早く走ることを意識し始めたのはこの頃かもしれない。

eM福岡の練習場でグランツーリスモをプレイする龍翔太郎

寝る間もないザルツブルク大会

■大会出場が決まってからどのくらい練習した?

龍:大会の1週間前にレギュレーションが発表された。課題と期末テストも重なってあまり練習時間はとれなかったが、時間の限り練習した。

出発直前に海外の航空会社がストライキを起こしたため、フライトが延期になった。もともと大会の2日前入りが予定されていたが、当日の朝4半時にホテル到着。6時まで寝て、12時頃に会場入り。ほとんど寝る間もなく参戦する羽目に。
フライト15時間(ドイツ~ミュンヘン~ザルツブルク)、飛行機も遅延、バスも遅れでトータル20時間はかかった。

ストライキでフライトが1日遅れたが、本番環境を意識した練習をする時間がとれた。モニターの位置、グローブやシューズを使った練習等。

■時差および外国での大会ということで、プレイへの影響は?

時差ぼけや寝不足はレッドブルで吹き飛んだ。帰りの飛行機でも映画を観たりしていたが、帰ってから一気に疲れがきた。

レッドブル・ハンガー7
「レッドブル・ハンガー7」の名の通り、関連する乗り物やグッズに囲まれた空間

トラブルで急きょ作戦変更

■海外のチームメイトとは相談して戦略を立てた?

龍:チームメイトが決まってからDiscordでやりとりしていた。英語はできないので、翻訳アプリを活用した。

担当スティントの相談等、戦略面も話していた。一発の早さ、タイヤを持たせられるかどうか等、判断基準をいくつか設けて担当を決めた。最低周回数14を走って、それ以降のタイヤの減り具合やタイム等も比較した。
レース練習は安定感を高めることを重視、体に覚えさせて自然体で走れるように。レースペースの一貫性を保つ。タイヤ摩耗や燃料消耗の確認もしつつ。

予選のあと本番レースがそのまま始まり、もともと想定していたタイヤに交換できず、お互い担当するタイヤでないもので走ることになった。(予選のあとタイヤ変更して選手交代しなければいけなかったが、そのタイミングが分からなかった)
もともとはチームメイトにミディアムタイヤで第1スティントを攻めてもらい、自分がハードタイヤで繋ぐ役割だったが、急きょ役割を入れ替えた。

最終的にチームは4位で、結果としては悪くなかったかもしれない。
自分がミディアムを担当することになったが、想定通りの力を発揮できたとは思えていない。もともとミディアムは練習していない。バトルはうまくやれたが、そこは納得の結果とはいえない。

グランツーリスモ ワールドシリーズ Showdown 2022 チームマツダのシート
本来3人1組のチームだが、当日1名が病欠になるというトラブルも

マツダ車に乗り続けて掴んだ世界への切符

■レース中印象的だったこと

龍:ソフトタイヤで迫ってきたフラガ選手に先を譲り、そのあとハーフスピンを起こした他のクルマをオーバーテイクしたときは印象的。

■緊張した?

緊張したが、うまくやってやろうという気合が勝った。
緊張してないときは集中できてない気がする。逆に緊張していてよかった。

■ワールドシリーズに参加して楽しかったこと

マツダの代表として世界に出られたのが嬉しかった。自分はあまり器用な方ではないので、同じメーカーのクルマに乗り続けた方が自分の強みを活かせると思う。

グランツーリスモ ワールドシリーズ Showdown 2022 チームマツダ代表、龍翔太郎 GT公式YouTube配信

勝ち負けより楽しむこと

■上達するために必要なことは?

龍:努力+どうやったら速く走らせることができて、レースで勝てるのか、速い人はなぜ速いのかを研究すること。継続すること。明確な答えはないが、自分なりの答えが見つかるときがくると思うので、それを追及してほしい。

■これからスポーツモードに挑戦する人へのアドバイス

とにかくレースを楽しんでほしい。まずは楽しむことが大事だと思う。勝ち負けより、レース自体を楽しめたかどうか。

ザルツブルクの街並み

クルマ文化の良さが広まってほしい

■グランツーリスモシリーズやeモータースポーツ業界に求めること

龍:モータースポーツをもっと広めてほしい。クルマ好きが増えてほしい。今は内に寄りすぎている気がするので、クルマの文化や良さをもっと広めてほしい。

■今後シーンはどのようになっていくと思うか

リアルのモータースポーツに進出するGTプレイヤーは増えそう。最近はゲームのクオリティも上がっているので、(実車で活動するにしても)速く走る練習にはなりそう。
ゲームだけでやってきた人でも、実車に乗る恐怖心やゲームとの違いを克服できればチャンスはあると思う。

GTで得た体験を将来へ活かす

■夢の現状

龍:最近は自動車のデジタルモデリングも行っていて、デジタルモデラーとしての道も見えてきている。自動車開発ドライバーも目指しているが、今はいろいろなことに挑戦して引き出しを増やしつつ、可能性を広げている。GTで培った技術や知識もどこかで活かせるはず。

■今後の目標

GTの大会や就活でスケジュール的に大変なところもあるが、いまやっていることに全力で取り組む。


常に目標を見据えて己を磨き、ついに世界の舞台へ立つことが叶った龍翔太郎。自動車業界で仕事をしたいという目標にも、着実に迫っている様子。

今大会ではトラブルの連続で実力を出し切れてないのは間違いないので、ぜひ再挑戦してほしいものです。学業や公式戦以外の大会もあってキャパオーバー気味と語っていましたが、いつか再び世界大会で戦う姿が見れるのを楽しみにしています。