堤口直斗、国体本大会初出場
10月16日、国体文化プログラム「全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2022 TOCHIGI」グランツーリスモ7部門の本大会が開催されました。国体に挑戦し続けて4年、福岡県(エリアG)代表として初めて本大会出場した堤口直斗選手にインタビューを実施しました。
各地を転々、まさかの福岡県代表
■初の本大会出場ということで、心境や感想
堤口:代表が確定した時点で、これまでにない達成感と嬉しい気持ちしかなかった。
■国体は毎年参加している?
2019茨城:福島県代表決定戦出場
2020鹿児島:北海道・東北ブロック代表決定戦出場
2021三重:福岡県、オンライン予選落ち
2022栃木:福岡県代表、全国10位
※2019年~2020年は仕事のため住んでいた福島、実家のある北海道から参戦。2021年から福岡へ移住。
■北海道出身で福岡代表となったが、その心境は?
代表になるなら福島・北海道かと思っていたが、まさか福岡の代表になるとは思わなかった。クラブ内でも荒木君、龍君、航太朗君といった強いプレイヤーがいるので、福岡は選手の層が厚く、レベルが高くて難しいと思っていた。
■グランツーリスモ(以下、GT)は2歳くらいからプレイしているとのことだが、そのゲームが国体文化プログラムとして大会になっていることに感じることは?
趣味としてやっていたゲームが国体のような名のある大会になるとは思わなかった。GT5(2010年)の頃から徐々にレッドブル5GやGTアカデミー、ワールドシリーズといった大会も開かれるようになり、パブリックの目にも触れられるようになってきた。
GTはリアルのモータースポーツと直結するところがあって、昔実車でやっていた人や何も知らない子ども達にとっても入口として良い題材だと思う。
餃子の街でプレイヤー同士の貴重な交流
■栃木までの遠征ということで、向かいながら感じたことは?
堤口:富士山が見られなくて残念だった。浜松あたりまでは晴れていたが、徐々に曇ってきて観れなかった。
博多~東京が新幹線(一番速いのぞみ)で5時間。東京~宇都宮が新幹線で1時間。
新山口で社会科見学風の小学生達が手を振ってくれた。平日で電車移動をして子ども達に手を振ってもらって、人生謳歌していると感じた。大会というより旅してる感覚だった。
■現地着くまでにトラブルは無かった?
笹栗~宇都宮のチケットをもらっていたが、途中下車できる駅が限られていて、お土産を買う予定がずれてしまった。(途中下車で買うつもりが、新幹線乗り換えのときに買った)
当日はホテルチェックイン前に友人とのドライブ等も入れていて、ちょっと予定を詰めすぎたかもしれない。もともと朝4時に寝るといった夜型の生活をしていたので、生活習慣が治ったのはよかった。
■栃木はどんなところだった?
宇都宮駅のまわりは田んぼが広がっていてのどかだった。餃子のお店が多かった。(駅内に4~5件)
予選当日の夕飯に餃子屋へ行ったが、塩をつけて食べるという新しい発見をした。栃木行ったらレモン入り牛乳を飲んでください。
■全国から代表プレイヤーが集ったが、交流はできた?
そつなく皆とコミュニケーションをとれたと思う。愛知県の二人とはとくに喋った。自分の中では愛知や名古屋は通過する場所という印象で、交流できる機会が少ないので良い刺激になった。ホテルの大浴場で他のプレイヤーとばったり遭遇したりもした。
前日は主にレースについての話をしていた。どちらかというと、選手より見に来てくれた人や運営の手伝いをしていた人(ナミ太郎さん、イゴール・フラガさん)と話した。内容はだいたい大会についてや世間話。もうちょっといろんな人と喋ればよかったと思う。
緊張が抜けてしまい実力発揮できず
■本大会出場が決まってからどのくらい練習した?
堤口:とりあえず1日1時間は走ろうと思ったが、後から聞いたらまわりは3倍くらい走っていた。単純に練習時間が足りてなかったと思う。
■予選で失敗したとのことだが、何を失敗した?
ミスとペナルティが重なってしまった。シケインの入り口でミスって0.3秒ほどロスして、立ち上がりでペナルティがついてしまい実質1秒くらい失った。これが無ければ4番手スタートくらいは取れたと思う。
予選は6人1グループとなり、一人ずつ出走する形式。後から走るグループの第1走者だったが、なんとなくミスれない雰囲気に呑まれてしまった。
■後方で何度も順位が入れ替わっていたが、どんなことが起こっていた?
どんどん仕掛けて前にいこうとしたが、スピンしてしまって最後尾になった。別の人がスピンしたところを抜いたり、他のプレイヤーとバトルをしていたが、またスピンしてしまった。オフライン大会に慣れていなかった人がスピンしていた印象。
タイヤ選択等の戦略は間違っていなかったが、ミスで台無しになり、先頭集団とバトルできる土俵にいなかったのが悔しい。
■オフライン大会は緊張した?
緊張しなさすぎて気持ちが入ってなかった。前向きな気持ち(勝ちへの意欲)が出てこず、(悪い)流れに身を任せすぎてしまった。頭では勝つと考えていても、気持ちがついてきていなかった。ほどよい緊張感はあった方がよかった。
■大会中で印象的だったことは?
佐々木拓眞君(U18の部で優勝)の涙が印象的。すごい気持ち入ってたなと。一般の部の参加者同士で「もう俺らレースしなくていいわ」という話になっていた。そこで気が抜けてしまったのかもしれない。
■今後の課題
何もかもと言いたいところですが、イゴール・フラガさんからアドバイスをもらって、全体的にアクセルを踏むのが早いということで、技術的なところから改善していきたい。メンタル面を鍛えるにはもっとオフライン大会の経験を積みたい。
国体出場を目指す人へ
■上達するために必要なことは?
堤口:気持ち。モチベーションは必要。モチベーションを維持するためにも、互いに高め合える仲間がいるのは重要だと思う。知り合いが自分より速いタイムを出していると、「あいつタイム上がってんじゃん」とやる気が出る。
■これからスポーツモードに挑戦する人へのアドバイス
まずは人にぶつけないようにですね。速さはあとから身につける。
現状のGT7のAIは人間とのレースには参考にならないので、ロビーのフリー走行の部屋とかで人とぶつからないように走ること。デイリーレースでレーティング変動しないレースもあるので、そこで練習するとか。
国体への再挑戦、ワールドシリーズ出場が目標
■大学入学を目指しているとのことだったが、そちらは順調?
堤口:いったんやめてる状態です。急ぐ必要も無いので、今はグランツーリスモを頑張る。生活もちょっとカツカツだから仕事もしないといけない。独学よりも人に教わって知見を広めたいので、大学は行きたい。
簿記の資格を取って、数字を扱う仕事はやってみたい。eM福岡の活動でも役立つ場面があるかもしれないので。とれる資格は何でも取りたい。
■今後の目標
まずは来年の国体の福岡県代表になりたい。今年の借りを返すというか。
淡い欲望としてはワールドシリーズに出たい。これはもっと長い目での目標。
単身、北海道から福岡県へ移住し、県代表として国体の舞台へ立った堤口直斗。まだ福岡に住んで2年目、JEGTグランプリのような企業チーム向け大会にも出場し「プロプレイヤー」と呼ばれることはあるものの、安定した生活とは言えない状況のようですが、まだまだ大会への意欲は尽きない様子でした。
これからも仲間たちやライバルと共に切磋琢磨し、ぜひ国体への再挑戦と世界の舞台に立つ夢を叶えてほしいと思います。